親友。それは初恋の人 (後編)
(前編の続き)
高校を卒業し、20代半ばまでは
年に数通のメールと年賀状で
とりあえずの近況報告をするだけで
時間は過ぎていきました。
通勤中、nと共通の友人に偶然会い、
私とn(初恋の人)の職場が
とても近いことが分かりました。
ほどなく、nからメールを受け取り
仕事後、二人で食事に行くことになったのです。
成人してから二人で会うのは初めてのことでした。
歳を重ねても、nの話し方や雰囲気は変わることなく
二人でいる時の居心地の良さを思い起こしました。
そして、
『実はね…あの頃、nが大好きだったんだよ。』と
お酒の力を借り、私は思い切って切り出したのです。
全身が心臓じゃないかと思うほど、
鼓動が早まるのが分かりました。
nは動揺することなく、
私の目をまっすぐに見て言いました。
『うん、知ってた。kちゃん、分かってたよ』
嫌な顔ひとつ見せず、
いつものように穏やかに微笑みながら。
私はその言葉だけで十分幸せでした。
もうそれ以上は聞きませんでした。
nは私の事を好きだったのか-
nにとって恋だったのか-
そんな野暮なことよりも
彼女の優しさが嬉しかった。
きっと、nにとっても
二人で一緒に過ごした時間は
『特別な時間』だっただろう、
と私の都合のいいように解釈しています(笑
現在、親友nは地元を離れて
仕事に子育てに奮闘中。
相変わらず素敵な女性、大切な親友。
(夏の終わりに、電車に揺られて二人で海を見に行ったことも。)
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